相当長期間,このブログも放置していました.申し訳ありません.
さて,2010年3月に博士号を頂いてからのことを簡単に纏めます.
●仕事編
博士号を取ったけど,馬齢も重ねたと言うことで,開発の第一線からは公式には引いた形になっています.
事業部長の考えでは,顧客の工場で発生する弊社製品起因のプロセストラブルを解決できる人材が少なすぎるので,そこのグループで頑張れとのこと.
この場合,顧客も原因が判らないことが多いので,顧客と一緒に最新プロセスと弊社製品の性能や特性をつき合わせていく必要があり,弊社製品に関する全般的な知識だけでなく,最先端半導体プロセスに関する知識が要求されます.
また,顧客との打ち合わせが増えるのですが, その際に博士号でハッタリがきくかも,と言うこともあるみたいです.
実際,7月,9月,11月,1月と韓国に出張してますね.このうち9月は韓国顧客がアメリカに作る新工場に弊社製品が納入されるので, その製品に関する網羅的な座学トレーニングを米国人エンジニアに1週間行ったもの.それ以外は全部トラブル対応でした.
また,アメリカの工場にもこれから2年間,年に4ヶ月は駐在することになります.とりあえず1回目は状況の偵察ということもあって,年末から3週間弱駐在してました.
●研究編
2010年は,私の関係する分野の国際会議が2件,日本で開催されました.
最初は6月.これは弊社装置の分野そのものの国際会議です.当然弊社もスポンサーに入ってますし,論文も沢山出す必要があります.
アブストラクト提出が2010年2月だったので,博士論文公聴会も終了していて余裕があったので,2件発表申し込みをしました.
結局,会議には主著で2本,共著で4本の論文発表となりました.(実際には,共著のうちの1本はほとんど私が書きましたが….書くはずだった上司があまり書けなかったので,代筆と言うかゴーストライターというか…)
2つ目の国際会議は,大学の指導教授関係.
私も昔関係していた分野の会議だったのですが,今細々としている研究が,原理的にそちらにも応用できそうだと言うことが判ってきたので,そういう趣旨のアブストラクトで申し込みました.
その後は(共同研究で大学に持って行っていた装置を使って)自分ひとりで実験して論文を書きました.
こっちの論文は採録決定だけでまだ出版はされていません.
2010年の論文数は出版ベースで主著2本,共著6本,執筆ベースで主著3本,共著4本でした.
博士取得の翌年(しかも研究職じゃない者)の論文数としては充分じゃないでしょうか?
今年はせめて1本は書きたいものです.
●大学編
大学との共同研究は続いていますが,ほとんどお付き合い程度のもの.会社としてもその結果に特に期待はしていません.
大学とのお付き合いでのトピックとしては,私のいる会社の親会社と私の出身大学とが年に2回行っている技術懇談会での発表を,去年の春に行いました.
この技術懇談会,親会社の分野に関して,親会社と大学が研究発表をしていたのですが,今回6回目ともなると親会社の発表内容がなくなってきたのか子会社の発表と言うことになり,今回弊社の研究発表を行うことになりました.
この技術懇談会は大学の特別講義に指定されていたため,学生が100名ほど集まりました.弊社の発表者はまぁ,当然でしょうが私とあともう1名.大学としては自分達の先輩で,学部卒であっても就職してからもきちんと研究としていれば博士が取れるという実例として私を使いたいというのがあったのでしょう.
会社紹介と私が10年ほど前に行った研究開発の話を40分ほどさせてもらいました.しかし,D論の公聴会(Defense)で100分発表+60分質疑応答というのを経験すると40分の発表は別になんでもないことになってしまいますねぇ.
またそれとは別に,来年から大学で客員教授をすることになりました.客員なので勿論会社は辞めません.というか会社辞めたら客員教授も続けられません.
とりあえずは2年間,大学院生(修士)の指導を行います.
客員教授だと教育経験としてそれほど評価はされないでしょうが,それでもがんばろうとおもいます.